穂高岳・下又白谷

穂高岳・下又白谷登攀
2019年9月13~14日
成瀬陽一・田中暁

2017年8月に中又白谷を登った。
中又白谷はフリーでひたすら滝を登っていく登攀的な谷で、岩も硬く非常に楽しく登ることが出来た。次は隣の下又白谷も登ろうと話していたが、天候に恵まれず2年経ってやっと下又白谷に行くことができた。

2019年9月13日
始発のバスで上高地へ。

いつも綺麗な河童橋周辺の景色

のんびり歩いて下又白谷出合へ。
今年は雪が少ないのではないかと話していたが、F1が近づくとやっぱり雪渓が出てきた。
薄い雪渓をくぐって進み、右岸側からF1手前の雪渓に登る。

雪渓くぐりは毎回のことながら嫌だ

雪渓の上に登る

雪渓の上を渡って埋め木懸垂で左岸側へ。

雪渓の上からF1を見る

右のルンゼ方面へ移動

恐い埋め木懸垂

埋め木懸垂で降りていく

雪渓くぐりはいつも通り嫌だったが、初体験の埋め木懸垂も恐ろしいものであった。

F1
ルンゼをしばらく上がってからロープを出す。
1P目(成):落ち口上のリッジを目指してトラバースしていく。砂・石の乗ったスラブ面をトラバース。灌木でピッチを切る。
2P目(成):脆い岩と草付きトラバース。
リッジから30mの懸垂下降。

雪渓から離れ、ルンゼを登っていく

ルンゼを登る

F1の1P目 見た目に反して悪い

懸垂でF1落ち口へ

 

F2
1P目(田):流水右の濡れたスラブを登り、カンテを登る。難しくはないが岩が脆い個所があり緊張する。

F2の1P目下部

F2の1P目中間部

2P目(成):トラバースして落ち口へ。

F2の2P目

F3
1P目(成):右壁をフリーで越える。

F3下段

2P目(田):水量が多く無理かとも思ったが激シャワーの中でジャミングを決めカムを決める。右壁のクラックをハーケン・ナッツ・カムのネイリングで越える。ここは残置が一切なく不思議だったが、今回水が流れていた中にクラックがあり、そちらから登られているようだ。薄曇りの天気の中、びしょびしょになったのでとにかく寒かった。

F3中段の出だし 激シャワーでギアラックからカムを取り出すのにも苦労する

F3中段上部

F3中段のフォロー

3P目(成):水流を飛び越えてスラブに乗り、細いクラックをネイリング。2P目・3P目で時間を使ってしまい、最後は暗闇の中の登攀となった。

F3上段

F3上には広河原という名の狭い河原があり、ここでごろ寝。
オープンビバークだったが、そんなに寒くなかった。

9月14日
ゆっくり起きて、7:30に広河原を出発。天気が良く、谷も明るくてシャワーも寒くない。
すぐにF4へ到着。

F4 天気が良くて気持ちいい

F4

1P目(成):ヌルヌルのスラブを上がった後はルンゼを登る。ルンゼは易しいが、浮石が多い。大きな石が落ちてきてビレイヤーは走って逃げれたものの、ロープにあたってダメージが…。

F4の出だしはヌルヌル

F4の1P目

2P目(田):脆い垂壁をカムのA1で登る。ブロックとの隙間にカムを入れ、抜けないことを願って登る。ここが一番やばいピッチだった。その上は傾斜が落ち、フリーで登る。

ブロックが動いたらカムが外れてしまうので怖かった 水量が少なければもっと水流寄りが登れそう

ここからは安心

F4の2P目のフォロー

3P目(成):ゆるいスラブ滝を右へ横断し、スラブを登っていく。横断するところはヌルヌルしててちょっと不安。その後のスラブは岩も硬くて気持ちの良いピッチ。

F4上部 ヌルヌルのナメ滝を横断

F4上部 ランナウトのスラブ

F4が終わり、ほっと一息。
続くF5は特に問題なく登り、あとはがれ沢を詰めていく。

快適なF5

がれ沢を上がる

美しい奥又白池に出たらあとは登山道を降りていくだけ。のんびりと休憩したりしながらゆっくり下山。

奥又白池

行く前は中又白谷と同じ様な感じで少し難しくなるのかと思っていたが、タイプが違う厳しい谷だった。
久々に充実した登攀ができて満足でした。

今回は水量が多かった。上高地では8月下旬から9月上旬にかけて雨が多かったためか、11日に大雨だったからか。
その為F3中段の出だしのシャワーが厳しく、越えられないかもと思うくらい厳しかった。水量が少なければ楽に越えられるようだが、これも良いアクセントになったかもしれない。

行程
9/13
6:30上高地バスターミナル-8:00下又白谷出合-9:00F1手前の雪渓-10:00F1下-12:30F1上-13:00F2下-15:10F2上-15:30F3下-19:00F3上-19:30広河原で泊

9/14
7:30広河原出発-7:40F4下-11:20F4上-11:30F5下-12:00F5上-13:50奥又白池-17:45上高地バスターミナル

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